同友会ニュース

2017年2月24日

鎌田哲雄・専務理事が同友会を語る


第11回理事会を開催しました

 第11回理事会を2月7日(金)に行いました。雪による交通渋滞や規制もあり、急遽出席できなくなってしまった方も何人かいらっしゃいましたが、今回は鎌田哲雄・専務理事が2013年度組織の説明と2014年度方針・組織の提案に関して話す大切な場であるということで、幹事の皆さんにも出席いただき、拡大理事会として行いました。参加者は32名。当日、愛媛同友会の役員と事務局の役割と関係について学びに来られた奈良同友会事務局長の伊藤真理さんも、理事会に参加されました。

 <鎌田さんの報告「どうすれば2014年度方針・組織が機能するかの協議」>

 鎌田さんの報告は「愛媛同友会の活動のための方針・組織にとどまらず、会員の要求は『時代の変化に対応する企業』、すなわち『持続可能な企業』を作りたいということ。その為の方針・組織だったが、なぜ、機能しなかったのでしょうか」という問題提起から始まりました。

 「持続可能な企業」とは、「『人を生かす経営』の総合実践を行う企業」です。そして、「人を生かす経営」とは、「労使見解の精神を生かした経営指針を確立し、社員教育を進め、求人を行う」ということです。2013年度、愛媛同友会は、人を生かす経営本部(企業づくり)、中小企業憲章・条例本部(地域づくり)、増強本部(同友会づくり)という3本部体制をとりました。いずれの本部も、「人を生かす経営」を実践するためのプラットホームであり、そこには愛媛同友会の30年間の歴史で得た教訓が込められています。

 その教訓として、鎌田さんは3つの具体的な事例を紹介しました。1つは、2013共同求人全国交流会で確認した「労使見解の精神を柱に、経営指針を確立し、社員教育を実践し、産学官連携の枠組みと条例を活用して、若者や障がい者の雇用に地域ぐるみで取り組むことが重要である」ということ。2つ目は、四国中央市の会員ネットワークから確認できた「理念を共有し、丁寧に丹念に連携をつくっていけば、それぞれの経営課題を解決できる。そのためには会員訪問が必要」ということ。そして3つ目は、東温市と松山市の条例制定運動で確認できた「条例は『人を生かす経営』の総合実践を行う企業を支援するとともに、企業が自覚的・自立的に『人を生かす経営』を実践できる環境をつくるものである。そして、条例制定により『人を生かす経営』の総合実践を行う企業が増えることこそが、よい地域づくりに繋がる」ということ。

 これらの教訓を生かし、「人を生かす経営」の実践をするための組織が3本部体制です。これによって実現したかったことと伝えたかったこともまた、3つ挙がりました。1つは、「同友会運動に全体観と見解を持つ役員と事務局を育成すること」、2つ目は「会員間の情報格差を解消して支部と委員会を活性化するということ」、3つ目は「『人を生かす経営』の総合実践が企業づくり、地域づくり、同友会づくりのカギであり、それを貫くのは『労使見解』の精神であるということ」。

 重要な役割を担って誕生した3本部体制が機能しなかった理由の1つとして、鎌田さんは「肝心の私が体調を崩し、意味と価値を十分に伝えることができなかった」と述べられました。これを聞いた時の私は、鎌田さんと会員の皆さんに申し訳ない、恥ずかしいという気持ちでいっぱいでした。本来であれば、鎌田さんの後を引き継いで事務局長となった私が、その役割を担うべきだったのです。しかし、私自身が3本部体制の意味と価値を理解できていませんでした。

 続いて、3本部体制、すなわち「人を生かす経営」の総合実践を実現できる組織にしていくために必要なことについて、鎌田さんから提案がありました。

 重要なのは、支部幹事や委員会メンバーの問題意識です。意味を理解するだけでなく、そこに価値を見出せるかということが実現のカギとなります。あらゆる組織間で情勢認識(時代、社会、業界、同友会)の共有を図り、信頼関係の構築に繋げていかなければなりません。そのための各組織(本部、理事会、支部・地区会幹事会、委員会・担当、事務局)の役割や運営の仕方についても提案がありました。

 その中で特に強く心に響いたのは、役員と事務局のそれぞれの役割と実務分担に関する話でした。(ページ下部「役員と事務局の役割」参照)

 「役員(会員)は運動で、事務局は理念でリードする」、そして「実務量は役員(会員)が7、事務局が3」という鎌田さんの言葉には、会員の皆さんに対してはもちろんですが、私の現状に対する強いメッセージが込められていると感じました。3本部体制を理解できていなかったことを含め、愛媛同友会の歴史とそこから発展していく今後の戦略を理解しないまま、日々の実務をこなすことで事務局長の仕事をしているつもりになっていた私。鎌田さんの言葉には、「全国の同友会運動と愛媛同友会に見解を持つのが事務局長。その上で、同友会運動をマネジメントするのが、本来の事務局長の仕事なんですよ」という厳しくも温かいメッセージを感じ取りました。そして、役員(会員)・事務局とも、最終的に行きつく先は「社会教育運動家」であるという言葉からは、改めて同友会運動の果たすべき役割、そして期待されている働きの大きさを認識することができました。

 「例え会社が倒産しても、生き残れる経営者と他でも通用する社員をつくるのが同友会。このための組織を作っていきましょう」という言葉は、また1つ私に同友会運動に携わる意味を教えてくれるものでした。
 

 報告の後は質疑応答が行われました。ある理事からの「鎌田さんにとって、同友会に関わってきて最大の成果は何ですか?」という質問。これに対する「私の最大の成果、それは今、ここにいる皆さんです」という発言には、同友会運動にかけてきた鎌田さんの誇りと確信があふれていました。

 理事会の最後、伊藤真理さんからの感想をいただきました。「今回の鎌田さんの報告を聞き、また役員の皆さんの様子を見て、愛媛同友会における役員と事務局との信頼関係は、真剣に向き合い、互いの本分を全うしてきたという関係の上に成立しているのだと理解できました。鎌田さんは、同友会運動と共に人生を全うできる数少ない事務局員の1人です。私もそうありたいと思います」。参加した役員、事務局員の想いを代弁していただきました。

<事務局員の感想>

 理事会に参加した事務局員の伊井達哉さんと住田昌士さんにも学びと気付きを聞きました。

○伊井達哉さん

「私が特に印象に残っているのは、鎌田さんの『どんな世の中、どんな社会になっても通用する人材を育成するのが、同友会の社員教育です』という言葉です。『会社にとって有用な人材を確保する』というだけではない、『社会教育運動』とおっしゃる意味が分かりました。また、会員一人ひとりのことをもっと知ろうと思いました。例会における経営実践報告も、報告者の背景や価値観を理解することで、更に学びを深めていきたいと思います」

○住田昌士さん

「愛媛同友会の29年間の歴史は、『人を生かす経営』の総合実践を実現するために戦略的に展開してきたものであるということが、鎌田さんの報告を聞いて、改めて確認できました。こういったことを事務局員が積極的に学び、今後の同友会運動に生かしていかねばなりません。役員と事務局の役割について述べられた中にあった『事務局は失敗の経験事例を教訓化する』ということを、しっかり実践していこうと思いました」
 

文責:大北雅浩(愛媛同友会 事務局長)

▲当日は拡大理事会として、幹事を含む32名が参加しました

 

▲報告する鎌田さん

 

 

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