同友会は本音で失敗や悩みを語る会

米岡 一嘉氏

<米岡 一嘉・プロフィール>
1957年生まれ、有限会社オーガスト 代表取締役。愛媛県中小企業家同友会 松山支部第2地区会幹事。EDOR委員、広報情報化委員。1991年入会。


父親が経営していた鉄工所の後継者として同友会に入会。全国大会への参加や経営指針成文化セミナーを3回受講する等して積極的に学ぶ。鉄工所を経て、1996年に現在の設計会社を設立。

―入会のきっかけ

祖父が鍛冶屋を、父が鉄工所を経営していました。父の会社は高度経済成長期に大きくなった会社で、特に考えなくても目の前の仕事をしていればお金が回っていくような会社でした。何か違うなと思っていた時に同友会に出会い、経営指針成文化セミナーを受講しました。ここでなら経営者が何をすべきか経営者とは何なのかを学べるのではないかと思ったことを覚えています。

 

経営指針成文化セミナーには3回出ました。1回目はまだ他人に発信できないなと思い2回目を受講しました。2回目は経営指針を作ってはみましたが実践を伴わないと理想を語っているだけになってしまうなと考え、もう1度受講をして、計3回受講しました。当時同じ時期に成文化セミナーを受けていたメンバーは同じ釜の飯を食った仲間のような感覚があります。

 

同友会で驚き、学びになったと思うことは、入会してまもなくだったと思いますが、全国大会で各地の経営者の方々が本音で失敗や悩み等を報告していることです。同業者の集まりや隣近所では話せないような内容でも同友会では報告している経営者と出会い、そういった雰囲気を体感した時に同友会はこういう会なんだと驚き、そう認識したことを覚えています。

―同友会での学びと失敗や成功

1997年に父親の鉄工所が倒産しました。真面目にやっていたのを見ていたので、何故だろうと考え、私も自分の力でやりたいという想いがあって有限会社オーガストを立ち上げました。

 

会社を始めて、社員も雇用して順調に仕事を進めていたのですが、仕事が増えて忙しくなったころ、父と同じようなことになってしまっているなと気付きました。一人ひとり様々な要因がありましたが、社員が減り、どんどん景気が悪くなり、最終的にはリーマン・ショック等の厳しい経営状況が続いてしまい、とうとう夫婦2人になってしまいました。

 

厳しい経営状況の中で例会等にも出られないような時もありましたが、同友会には籍を置いていて、そんな時でも同友会のメンバーには励まされたり、見守られていたりしていました。感謝しています。

 

ある時伊予・松前支部のフットサルに誘われて改めて同友会に参加するようになりました。同時期に支部幹事としても声を掛けていただいたので幹事にもなりました。

 

当時は何度か行けない時が続いて顔を出しづらいなと思ってしまい、参加率が悪くなってしまいました。そんな考えでしたので今度声を掛けられた時は断らずに参加しよう、役も引き受けようという意識を持つようにしました。それが昨年の例会皆勤にも繋がったのではと思います。

 

同友会での報告に学び、鉄工所倒産の総括ができました。

―同友会への期待

経営指針成文化セミナーの時に学んだのですが、理念をつくることは良いことだと思うのですが、理念自体が良い理念なのか、悪い理念なのかの検証は必要だと思います。何で検証するのかというのは同友会で言っている「社会性・人間性・科学性」だと思います。

 

最近の例会では会社の社員を連れてくる会員さんもいらっしゃいます。最初はどうなんかなと考えたのですが、よく考えてみると様々な面から良いことなのではないかと思うようになりました。経営者が学んだことを会社に持って帰って伝える手間も省けますし、議論するにも効率良く更に前進することができるのではないかと思うからです。そもそも社員が一緒に参加してくれるような会社の雰囲気が良いことだと思います。できる会社は多くはないのではないでしょうか。これは同友会の良さでもあると思っていますので進めていってほしいものです。

 

愛媛同友会は全国的にも様々な取り組みを実践していると思っています。同友会運動を率先して進めているからこそ、会員は自社のこと(本業)にしっかりと力を入れて頑張っていくことが重要だと思います。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

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