正しい目的があれば結果はついてくる

大川 耕三氏

<大川 耕三・プロフィール>
1949年生まれ、生活協同組合コープえひめ 相談役。愛媛県中小企業家同友会 理事・共同求人委員長。
1989年に入会。社員教育委員会副委員長を5年間、経営労働委員会副委員長を5年間、共同求人委員長を4年間勤められ、長きに渡り企業づくりの各委員会で活躍。
松山商大(現松山大学)生協、愛媛大学生協を経て、1982年に旧えひめ生協へ移籍。理事長として2004年に「理念」「ビジョン」「役職員行動指針」を策定。組合員さんの満足度の向上、地域社会への役立ち、生き生きとした職員集団づくりに注力し、中四国トップクラスの生協に躍進させました。

―入会のきっかけ

1982年、コープえひめ(旧えひめ生協)に入社しました。当時、組合数も2000名ほどで、組合員が増えないと良い商品も扱えないし、良いサービスもできないということで、目標はコンピュータのシステム導入のためにも10000人でした。

 

1989年には、時代も良く、業績も伸びていましたが、ややほころびが見え、ただ数字を大きくするだけではいけないのではと思っていました。そんなときに愛媛同友会事務局長の鎌田哲雄さん(現専務理事)が来てくださって同友会という、経営者の皆さんが共に学び合う会があるから入会しませんかとお誘いしていただき、ちょうど今後の方向性を考えていた時期でしたので入会しました。

―同友会での学び、経営に生きていること

同友会に入会してからは、社員教育委員会副委員長を1991年から5年間、経営労働委員会副委員長を1996年から5年間、2011年から2014年まで共同求人委員長を経験させていただきました。

 

同友会で理事や委員会をすることで様々な経営者の方々にお会いして直接声を聞けたことが大きなきっかけとなって、考え方を整理できました。経営者のみなさんが真摯に学び合い、時にはぶつけ合い、経営に対して本気で向き合っている姿が衝撃的でした。

 

事業を大きくするから組合員さんの声を受け止めて実現でき、暮らしに役立てるのではなく、事業が大きくなるのは結果であり、例え事業規模が停滞しようとも、職員さんがいきいきと働ける場をつくること、事業規模を追うことではなく、組合員さんの声を受け入れて実現することが経営の根本なのだということを同友会で学び、コープえひめも経営の方向を転換していきました。

 

転換を機に職員の皆さんは目的がはっきりとして、仕事がしやすくなったように思います。事業を大きくすることは目的となっていなかったのだと思います。

 

ただ、事業が停滞する、後退するかもしれないということが心配でした。しかし、それも一時的なもので、やがては正しい目的があれば結果はついてくるのだと信じていました。

 

実際は、職員さんの頑張りもあって、大きく事業を転換させたにも関わらず、事業を停滞させることなく、むしろ拡大していくような結果でした。これは目的が間違っていなかったのだと理解できました。

―経営での失敗と成功

2004年にアイコープと合併して新生コープえひめが誕生しました。合併して2年間事業は停滞してしまいました。最も困ったのは、言葉が違うことです。同じ言葉を使っていても意味が違っていることがありました。

 

そのため、仕事の目標・ものさしを一つに、明確にしようということになりました。それが今の役職員行動指針です。

 

「また利用したいと思っていただけるように、目の前にいる組合員さんを大切にし、役立ち喜ばれることを、精いっぱいします。」

 

とにかく大切なのは目の前にいる組合員さんの声を受け止めて実現することだということを意識しました。

 

同友会でも経営指針の確立をめざしていますが、目的や目標を明確にして共通言語を持つことはとても大切なことだと思います。

―同友会への期待

経営について悩んでいる経営者は多くいると思います。一人ひとりの経営者が、新しい発見ができるのは同友会の一つの魅力だと思っています。

 

もっとより多くの、1000人、2000人と会員を増やし、経営者のみなさんが同友会で学び、発展していくと、愛媛県の経済もより良くなっていくと思っています。

 

今、愛媛同友会は社会的な取り組みも行っていますが、会員企業はもちろん、地域社会にもあてにされるような、対外的な運動を進めていってほしいと思っています。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

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