憧れの人になることが大切

鎌田 哲雄氏

<鎌田  哲雄・プロフィール>
1957年生まれ。愛媛県中小企業家同友会 専務理事。
27歳の時に愛媛県中小企業家同友会設立のため、1985年1月に『車に布団一式』のみで大阪から来県。同年9月14日に愛媛同友会設立準備に関わる同友会設立後、事務局長に就任、2013年4月より専務理事に就任。
鎌田氏は数百人に及ぶ経営者や企業、そして教育機関や行政機関、報道機関などの地域社会と手を携えて、29年間同友会運動と共に歩んできています。

―入局の経緯は。

鎌田:大学卒業後、大阪の法律事務所で勤務していましたが、滋賀同友会の廣瀬元行氏から、愛媛県で同友会の事務局長を探しているという電話がありました。一度話を聞くことになり、中小企業家同友会全国協議会の当時事務局長をしていた国吉昌晴氏とお会いして同友会について知りました。惹かれたのは、「経営者が変われば、地域や社会が変わる。そういう運動をするのが同友会である」という言葉でした。そのときに同友会事務局への入局を決めました。ただ、愛媛県で、という話は断りました。その後、同友会立ち上げの準備会ができているというので、勉強も兼ねて一度愛媛県に行くことになりました。そこで、愛媛同友会初代代表理事の藤井滋氏や、故・渡部尚明氏、香川の三宅昭二氏と出会い、是非愛媛でやってほしいと話をしていただき、決断しました。憧れの人達との出会いと、リスクを怖れず決断したことが、愛媛同友会入局の大きな契機です。

―同友会で学んだこと、同友会運動で人生に生きていることは。

鎌田:同友会で学んだことはたくさんあります。人生の中で大切なことは、常に自己変革すること。そう教えてくれたのが同友会です。常に自己を問い続ける会が同友会であり、それが同友会の魅力です。
私の周りには憧れの人がたくさんいます。憧れの人を作ること、憧れの人になること。憧れの人の考え方や行動、話し方を見てそうなりたい、自分も変わり続けたいと思うことが大切であると考えています。
私にとっての同友会は親友です。かけがえのない友人であり、友人であるからこそ、時には喧嘩をしたり、叱咤激励をしたりします。私にとって同友会はかけがえのないものです。人生を語れば同友会そのものです。私にとっての同友会は共に歩む親友なのです。親友であるからこそ裏切れない。自分を写す鏡であり、会員のみなさんが私の憧れです。

―失敗や成功は。

鎌田:成功はほとんどありません。失敗ばかりです。成功を挙げるとするなら、愛媛県に同友会を作れたことです。愛媛県に同友会を作り、「厳しい経営環境の中、同友会がなければ、同友会で学んでいなければ、わが社はなかった」とまで言っていただける会員さんがいることです。また、松山市中小企業振興基本条例の中に中小企業関係団体として全国で初めて中小企業家同友会が明記されたこと。次の可能性を拓いたことです。

失敗は多くありますが、ひとつあげるならば、会員増強です。2000年度に設立からの目標がある程度達成され、会員増強が止まってしまいました。次の方針を確立し、持ちきれなかったことが失敗です。常に目標を持ち続けることが大切だと再認識しました。
―これからの同友会への期待は。

鎌田:中小企業問題は教育問題だと考えています。中小企業に対する社会的な評価が低いことの理由の一つは外的要因です。正しく知らない、認識されていないこと。学校教育で正しい情報や知識を与えられていない。日本の企業のほとんどが中小企業であり、中小企業が社会を支えている。そういったことを教えていないことが要因であると考えています。
もう一つは内的要因です。経営者や社員が、自分のやっていることに自信を持つ。ただお金を稼ぐことだけではなくて、理念を広げるためにお金を稼ぐ。自分のためだけにお金を使うのではなく、社会に役立てるためにお金を使うことが同友会の考え方です。経営者が立場を自覚し、誇りを持つこと。社員に中小企業で働いていてよかったと言ってもらえること。この2つが大きいと考えています。

中小企業の経営者に社員やお客様、地域から、社会から、若者から憧れの存在になってほしい。憧れの存在とは自己変革をしながら希望を語り続けること。憧れの経営者を育む同友会を作りたいと思ってきましたし、今後も作っていって欲しいと思っています。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

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