同友会ニュース

2015年2月5日

四国中央支部新春例会で鎌田専務理事が報告


31名が参加、同友会で何を学び、何を実践するのかを考える
 <ゲスト参加者が入会>
 1月27日、四国中央支部新春例会を開催しました。11月例会の“続編”として、待ちに待った愛媛同友会専務理事の鎌田哲雄さんの報告です。今回は、実務編に重点を置いてご報告いただきました。報告テーマは「憧れの存在になるために・・・会員として何を学び、実践しなければならないのか? ~同友会運動で学んだことを価値あるものにする鍵は~」。31名が参加しました。
 また当日は、真鍋豪さん((株)シンアイ)がゲスト参加されました。例会終了後に鎌田さんが声を掛けて握手。その場で入会を表明されました。1月30日、私こと大北が手続きに伺ったところ、真鍋さんはずっと、鎌田さんの報告に感銘を受けたとお話しされていました。経営フォーラムも参加申込をいただき、選んだ分科会は鎌田さんがコーディネーターを務める第5分科会。「ぜひもっと、鎌田さんの話を聞きたい」と、たっての希望でした。手続きに同席された社長である真鍋さんのお母様も「息子から聞いています。見知らぬ愛媛へ車に布団だけを積んでやって来て、同友会を組織してきたという鎌田さんに、私もぜひお会いしたいです」。「また今日も1人、鎌田ファンが増えたな」と実感した大北でした。
 
 さて、例会報告は前回11月例会での確認のおさらいから始まりました。
 
<経営指針の成文化を>
 今回の鎌田さんの報告の中で、特に力を入れて報告されたのは、経営指針の実践です。経営指針を実践しているということが、同友会運動に関わるうえでの共通言語です。「経営指針をつくらなければ、同友会で学ぶ価値は半減します」と鎌田さんは断言します。「経営理念と経営方針(戦略)と経営計画、不完全でもこの三角形を形にすること。成熟度はそこから高めていけばいいのです。まずは経営指針を作ることが、例会の学びを深めるために最も重要です」。さらに、「これを一つひとつ実践している人が、同友会をよくしていくのです。実践していない人は、足を引っ張ることになるのですよ」と釘を刺されました。
 
<例会は4つのフレームワークで>
 実務編ということで、今回は例会づくりについて丁寧に話していただきました。
 それは、例会を4つのフレームワークで設営していくということです。
 1つめは「事前打合せ会」、2つめは「事前報告会」、3つめは「例会」、4つめは「懇親会」です。経営指針の成文化と同じように、最初は不完全でも、この四角形を形作ることが重要であるという提起でした。以下にまとめてご紹介します。
○事前打合せ会
 報告者に対して、例会の目的と選考した理由を誠実に熱意を持って伝えることが大切です。報告してほしい内容と、報告者自身が話したい内容について、納得と合意が得られるよう打合せを行い、報告内容の指針を固めます。
○事前報告会
 事前打合せに基づき、必要に応じて何回か開催します。失敗事例をいかに引き出すかが、事前報告会の鍵です。報告者と座長に丸投げにせず、参加者全員で着地点(落とし所)を話し合います。また、役割分担とグループ別配席図を作成し、全国レベルの設営を行うための準備をします。
○例会
 座長は、今回の例会の目的と何を学んでほしいのかを参加者に伝えます。参加者が講演として聞くのではなく、自らの経営体験に引き付けてきく場をつくります。グループ討論では、グループ長を孤立させず、参加者全員が当事者意識を持って望むことが肝要です。鎌田さんは、玉井和幸さんの言葉「よいグループ討論とは、グループ長がスタートの挨拶をして、終わるまでほとんど口を開かず討論が盛り上がることが最高のグループ討論」を引き、当事者意識の大切さを話されました。
○懇親会
 鎌田さんは「懇親会は決して例会の付録ではなく、『学びと感動』の再生産の場です」と指摘しました。室長・座長・報告者・担当役員を含めて参加者の過半数が集まるようにすることが成功の鍵です。懇親会の担当・役割も事前に幹事会で決めて、「ひとりぼっちにしない」設営をします。納得と合意の上で入会してもらえるよう、ゲストと話す時間を作ることも大切です。
 
<上杉鷹山“さん”>
 最後に、「上杉鷹山の藩政改革=企業と同友会の改革」とのテーマで報告されました。1月15日に開催した役員研修(春編)でも鎌田さんは上杉鷹山を紹介する際、「上杉鷹山さん」とおっしゃいました。なぜ歴史上の人物に「さん」付けなのかを尋ねてみたところ、「彼が今の時代に生きていれば、きっと同友会で活躍していると思うんです。よい友人になっていたと思いませんか」。
 上杉鷹山さんが取り組んだ藩政改革は、『労使見解』と経営指針の実践であるとの提起でした。「改革とは、3つの壁(制度の壁、物理的な壁、意識(心)の壁)を壊すことです。中でも、心の壁を壊すことが肝要です。そのために必要なことは、?情報は全て共有すること、?職場で議論を活発にすること、?合意を尊重する=納得を重視すること、?現場を重視すること、?職場内に、愛と信頼を回復する―という5つの実践です。そして、『職場の問題児』、つまり、『問題提起をする人』を登用するということ。これはまさに、『労使見解』の精神に基づく経営指針を実践する、同友会運動そのものではないでしょうか」。との、鎌田さんからの提起がありました。
 時代を超える報告内容に私は改めて、同友会の普遍性を感じました。「現在の同友会運動の価値を決して落とさないよう、本気で励みなさい」というメッセージを強く受け取った例会となりました。
  
  上杉鷹山が改革に取り組んだ3つの壁
(1)制度の壁
(2)物理的な壁
(3)意識(心)の壁
※改革とは、この3つの壁を壊すこと・・・特に、心の壁
※問題提起する人の起用
 
<座長・久保安正さんのまとめ>
座長を務めていただいた久保安正さんのまとめは「実は私は、愛媛同友会が今、中小企業振興基本条例の制定運動を推進していることに疑問を感じていたのです」という告白から始まりました。「同友会の学びの根本である経営指針の実践がそれほど進んでいないのに、条例に取り組んでいる場合ではないだろうと考えていました。その真意を鎌田さんに聞いてみたいと思っていたのです」。そして、「しかし、今日の報告を聞いて、鎌田さんがいかに真剣に経営指針の実践について考えているかということ、また同友会が経営指針運動を柱にしていることを改めて確認することができました。鎌田さんが言う『条例は地域における経営指針です。ですから経営指針を実践している人が条例運動に関わることが条例を実効あるものにする鍵なのです』ということ。つまり、経営指針実践と条例制定運動が関連していることを理解できました。これからも、同友会の学びをひたむきに実践していきます」と締めくくられました。

文責:大北雅浩(愛媛同友会 事務局長)

▲報告する鎌田さんと、座長の久保安正さん(左)

 

▲グループ討論では鎌田さんへの質問が多く出ました

 

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