中小企業、同友会だからこそ考えられる、取り組めることがある

守谷 和久氏

<守谷 和久・プロフィール>
1949年生まれ、有限会社えひめ環境会議所 代表取締役。愛媛県中小企業家同友会 理事・環境問題委員長。

 

1990年に入会。設計の技術者でありながら環境コンサルタント。

 

愛媛同友会では環境問題委員会の前進、環境問題部会エコ・ドゥ会長を務め、毎月発行している会報誌ではコラム「守谷ハカセの環境問題方程式」を掲載。

―入会のきっかけ

大学を出て10年間大阪府で修行をしていて、30歳程で独立を考えていました。しかし、身体を壊してしまい、とても残念でしたがUターンして愛媛県に帰ってきました。

 

帰ってきてから、身体のこともあり、このままだと食べていくことも難しいのかなぁと思っていた時期でした。そんなときに同友会には入会して、すがるような思いで出席しました。経営の勉強は独学でしたので、同友会での学びの何もかもが新鮮でした。

 

入会当初は鎌田専務理事(当時事務局長)に随分助けてもらいましたし、同友会を紹介してくださった宇高昭造さんが当時川之江・三島支部長をされており、宇高さんの会社で仕事の話や同友会の話、雑談なんかを織り交ぜながら幹事会等でたくさんの話をした記憶があります。濃密な時間を過ごしたと思います。

―学びや失敗と成功

東京の同じ業界の大きな設計事務所とタイアップして、そこの四国営業所で代表をやらせていただいたことがきっかけで仕事が急激に大きくなりました。しかしながら、しばらくしてその仕事が終わると、急速に業績が悪化しました。3年間ほどでほとんど仕事がなくなりました。

愛媛県の仕事を多くやらせて頂いていたことも要因の一つで、仕事の要求は高く、利益は出なく、ほとんど人件費に消えました。

急に会社が大きくなったために人材教育が大変でした。仕事の質と社員の力量と時間の勝負でした。結局職人の育成に失敗しましたね。

人は増えるのに私自身が技術者から営業をする体制になり、事務所にいなかったため、社員とのコミュニケーションがうまくいかず、社員との関係もよくありませんでした。反省することばかりです。

 

そして同友会で一所懸命勉強しました。多くを吸収し学んだと思います。全国大会もできるだけ参加しました。
しかし、その学びを咀嚼せずにそのまま自社に転用してしまったことが、よくなかったと考えております。
経営指針成文化セミナーも受講して経営指針も作成しましたが、その場の思いつきのようなもので、まるで小説でも書いたかのようなもので本物の経営指針を作れてはいませんでした。他社の取り組みも、いいことだから全てやるというようなことをしてしまいました。全然身につきませんでした。
まずは自分が経営者として現状と照り合わせて、綺麗に取り繕うのではなく、自分に合ったやり方を考えて行動することが大切だと後になって、気付きました。

 

急激に経営環境が悪くなり、年々従業員を解雇していきました。従業員もいなくなりました。無我夢中で仕事をしていました。余裕なんてありませんでした。
そして最終的に妻と2人だけでできる仕事で再出発しました。それがISOのコンサルタント業です。

雇用を守れなかったことが本当に悔しいし、経営者の責任を果たせなかったことを本当に反省しています。
―愛媛同友会への期待

沖縄であった第29回定時総会に服部豊正さんと宇高さんが出席されていて、全国で各都道府県同友会で環境問題委員会をつくることを申し合わせて、愛媛同友会でも「エコ・ドゥ」という会をつくり、愛媛同友会でも環境問題について考えようとなりました。全国総会のあった次の月の理事会で私が担当理事になりました。2000年4月21日に設立の総会を行って本格的に活動がスタートしました。

 

当時は環境問題が大きくブームになっていたこともありますが、私は今だからこそ環境問題にもっと目を向けてほしいと思っています。

 

何故今エネルギーシフトなのかということを皆さんと共に考えてみたいと思っております。エネルギー問題は大きな許認可が必要なものですから、随分手強いとは思います。そして環境問題は未来に影響が大きいことが特徴です。若い人たちにより興味を持ってアプローチしてほしいと思っています。

 

また、エネルギーと食とは接点が多くあります。誰もが考えやすい食を入り口にすることで多くの人にエネルギーについて考えていただくといったアプローチなんかも考えています。
エネルギー問題は経営から遠いと考えがちです。本当は随分近いんだと言うことから始めていきたいと思っています。中小企業だからこそ、同友会だからこそ考えられる場があり、取り組めることがあると思っています。ともに学び、取り組んでいけたらと思います。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

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